同人誌 より一部掲載

好き、想いは同じだから <試し読み3>

 皇祐は、Strahlシャトラールという店で働いている。内容は、男に身体を売るという仕事、いわゆる売り専だ。
 敦貴も了承のうえで、二人は付き合っている。
 店の中で指名が多い皇祐は、休日にも予約が入ることがあった。だから、敦貴と休みを合わせていても、無意味になることが多い。
 最近では、皇祐の帰りは、ほとんどが朝方だ。敦貴も帰りを待つのが辛くなり、お互い相手の寝顔しか見られない状態が続いていた。






「コウくん、気持ちいい?」
 男は、鼻息を荒げながら、問いかけてきた。
「はぁっ、ん、あぁ……」
 だが、皇祐は、思うように答えられない。
 ベッドの上で後ろ手に縛られ、尻にはローターを入れられていた。スイッチの強弱を切り替えられるたびに、びくびくと身体を揺らすことしかできない。
「ダメだよ、そんなに動いたら、また腕に痕がついちゃうでしょ」
 そっと、縛っている腕を撫でて、くくっと不気味な笑い声を上げた。
 彼は、皇祐が店で働き始めた頃からの常連客だった。
 いつも、動けないように縛り上げ、玩具を使って楽しむ。変わっているのは、よがっている皇祐の姿を、じっと眺めているだけ。交わりも、触れ合いも、一切しない。皇祐が達するところを確認すれば、男は満たされるのだ。
 だけど、皇祐にとっては、普通に身体を重ねた方が楽だと感じていた。
 客が気持ち良くなるようにもてなし、一度でも相手が射精することができれば、たいていの客は満足してしまう。
 反対に、自分が射精するまでとなれば、そこまで気持ちを高めなくてはいけないし、行為はしばらく続くから、かなりの労力が必要になる。
 それでも皇祐は、この客を切り捨てたりはしなかった。長年自分を指名してくれている大切な客だ。相手に合わせて、多少のことは我慢する。それが、皇祐のやり方だった。
「すごくきれいだ、コウくん。触って欲しい? ダメだからね。きちんと自分でイクんだよ」
 ただ、この客の予約が入った時は、体力的にきついので、その後の予約は入れないようにしていた。




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